お知らせ
2025.06.13NEW
パーキンソン病NEWS【vol.3】iPS細胞を使った新しい治療の試み
パーキンソン病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺および関連疾患の、知っておくと役に立つニュース
【vol.3】iPS細胞を使った新しい治療の試み
2025年に京都大学を中心とした研究グループが発表した最新の研究で、パーキンソン病の新しい治療法として、iPS細胞から作ったドパミン神経前駆細胞を脳に移植する臨床試験の結果が報告されました。
どんな研究?
50~69歳のパーキンソン病患者様7名に対して、患者様自身の細胞から作ったiPS細胞を使い、ドパミン神経前駆細胞を左右両方の脳に移植しました。移植後2年間にわたり、安全性(副作用)と、パーキンソン病の症状が良くなるかどうかを調べました。
結果はどうだったの?
- 重い副作用はありませんでした。
- 軽い〜中等度の副作用は73件ありましたが、いずれも治療が可能なものでした。
- 治療薬の調整によりジスキネジアが増えた方もいました。
- MRI検査では、移植した細胞が腫瘍化することはありませんでした。
効果については?
- 6人のうち4人で、「オフ(薬の効果が切れている状態)」の時間帯の運動症状が改善しました。
- 5人で「オン(薬が効いている状態)」の時間帯でも改善が見られました。
- 平均すると、「オフ」状態で約20%、ON状態で約36%の改善が見られました。
- 病気の進行度を示すホーン・ヤール分類でも、4人で改善が見られました。
- PET検査では、脳の中でドパミンが増えた証拠も確認されました(特に高用量グループで効果が大きい)。
この研究からわかったこと
- iPS細胞から作った神経のもとは安全で、ドパミンを作ることができる。
- 腫瘍などの重大な問題は起こらなかった。
- 症状改善の兆しも見られ、今後の治療法としての可能性が期待される。
この研究は、パーキンソン病の治療に新しい光をもたらす大きな一歩です。
まだ研究の初期段階ですが、今後の進展によって、将来的にはより多くの患者様に届けられる治療になるかもしれません。